なぜ、サクラが存在するのか?

さくらというのは本来、一般客のフリをして他の客の購買意欲をそそるように合いの手などを入れる連中のことをいう。突然パッとあらわれて、サッといなくなるあたりが、桜の花びらと似ているところからこうよばれるようになったという。

サクラが誕生したきっかけ

日本の出会い系で、最初にサクラの存在が確認されたのは1990年代の終わり頃だと記憶している。

当時はまだWindows95が登場したばかりで、インターネット業界には、まだ悪さをする連中も殆どいなかった。昨今、問題になっているサイバー犯罪も迷惑メールもそれをする技術すらもなかったのだ。

なぜ、それをしようとは思わなかったのか?答えは簡単だ。普通にやっているだけで稼げたからである。後に到来するインターネットバブルの礎はこの時に作られた。WEBサイトを作れば訪問者が殺到し、バナー広告を張れば、みんな珍しがってクリックしたからそれだけで恐ろしいほど儲かった。

しかし、良い時代というのは長くは続かない。誰でも簡単にホームページを作れるソフトが登場し、ブログが発明され、SNSが大流行したおかげで、WEBサイトの数は地球上の人口をあっという間に上回った。ユーザーは、相変わらずサイトを訪問するものの、少しでもストレスを感じるとすぐに「戻る」ボタンを押すようになってしまった。

1サイトあたりの訪問者数は十分の一以下になり、バナーのクリック率にいたっては数百分の一以下にまで低下した。PCの普及率は上がったが、それを上回る勢いでWEBサイトの数が増えたため、どの業界でも熾烈なWEB上での順位争いが繰り広げられるようになった。SEO(検索エンジン最適化)というキーワードがWEB上を駆け回ったのもちょうどこの頃だ。

SEOが限界までくると、WEBの管理者達は、少ないユーザーからいかにして多くの課金を取るかを考えるようになった。それが会員登録というシステムを作り、パスワードという概念を定着させた。もちろん出会い業界やアダルト業界の連中も同じような手法をとった。

出会い業界の問題

出会い業界では特有の問題が起きた。真面目にやっている企業ほど、軒並み経営がキツくなっていったのだ。ユーザーが、より過激なものを求めるようになったためだ。やわらかなデザインよりも、過激なデザインが好まれるようになった。文字ばかりのサイトに訪れる人は少なくなり、存在していない美人女性の画像をページ内に散りばめるサイトに人が多く訪れるようになってしまった。

そうなるとサクラの登場は、もはや時間の問題だ。男性ユーザーが美人女性を求めてきている以上、それに答えないことには会員獲得には至らない。管理者達は、自分を女性だと偽り、メールを返信するようになった。それはすぐにシステム化され、やがてサクラとよばれる人為的操作によってその行為が行われるようになっていった。

出会い系の経営者に聞いてみた

昔、自分が勤めていた悪徳出会い系の社長(経営者)に聞いたことがある。「なぜ、サクラを雇うんですか?」と。

彼はこう答えた。「ユーザーが求めているからだ」と。

聞けば、最初はごく普通の出会い系だったという。しかし、上記に述べたような事が起こったおかげで、体制を変えざるをえなかったと。つまり、ユーザーがサクラを生み出してしまったのだ。言われてみれば確かにその通り。分不相応な女性と会いたいという夢見がちな男性が多いから、このシステムが成り立つワケだ。

しかし、人を騙して利益を得ることなど、倫理的にも社会的にも許されることではない。その点はどうなのか?社長は言った。

「トヨタの車に乗って、年間5000人が死んでいる」と。

私は止まった。どちらが悪いか?と聞かれれば、私はおそらく今でも答えられないだろう。「騙される側が悪い」などということを私は言うつもりは毛頭ない。しかし、何が一番正しいのか?どの職業が一番尊いのか?という質問には、今でも答えられない。

話が少しそれてしまったが、ユーザーのありえない妄想がサクラという悪の産物を生み出してしまったことには間違いはないようだ。いなくはならない。だから注意してほしのだ。いい加減なプラス思考は時に身を滅ぼすということを肝に銘じてもらいたいのだ。

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